スーツを着た悪魔【完結】
あれって……
「朝倉さん!?」
思わず大きな声が出て、自分でも驚いた。
そんなまゆの態度を見て、朝倉頼景はホッとしたように微笑み、まゆの前に立つ。
「お久しぶりです」
「あ、はい……お仕事ですか?」
ジムで鍛えているんだろう。スタイリッシュな体つきにぴったりな、相変わらず隙のないスーツ姿に、まゆはどこか気おくれしながらも、彼を見上げる。
「他社で打ち合わせがありましてね。その帰りです。よかったらお茶でもどうですか?」
日差しの下でも汗ひとつかいていない頼景。
いくら夏用のスーツとはいえ、いったいどういう体質なんだろう。美しい人は汗もかかないんだろうか……。
まゆは不思議に思いながら、頼景を見上げる。