スーツを着た悪魔【完結】
二人は連れ立って手近なカフェに入る。
「俺はコーヒーを」
「ミルクティください」
注文を終えた二人は、視線を合わせる。
頼景は相変わらず無表情気味で、何を考えているか読み取るのは難しかったが……いつかこういうことがあるという予感があったと思えば、それほど怖くないような気がしてきた。
もう、腹をくくるしかない。
「あの……朝倉さんは、芙蓉堂にお勤めなんですよね」
思い切って自分から話しかけてみた。
「ええ。国際マーケティング部です」
「芙蓉堂の商品を海外で売る、というお仕事ですか?」
「それだけではありませんけどね。それが主な業務です」
華やかな深青とは対照的な、物静かな雰囲気をした頼景だが、誰が見ても美形なのは間違いなく、カフェでも人目を引いた。