スーツを着た悪魔【完結】
頼景はうなずき、カップを置く。
彼がゆっくりとうなずくさまを見て、全身からすうっと血の気が引く音がした。
やっぱり、そうなんだ。
指先がひんやりと冷たくなる。
咄嗟に温めるようにこぶしを握ったが、熱を取り戻すことはない。
「――俺は深青のことは弟のように思っています。だから」
「わかってます……当然です」
彼が自分のことを調べたと聞いた今、まゆはどこか諦めに似た表情を浮かべる。
頼景を責めるつもりはなかった。
過去、何度か似たようなことはあったのだ。
親しくなれそうな友達ができそうになっても、ある日突然急によそよそしくなってしまう。
男の子にだって何度か告白されたこともあるけれど、付き合うには至らず、離れていく。
距離を置かれる……。
そうでなくても、深青が特別な家に繋がると知ってから、こういう日が来ることもどこかで予感していたはずだ……。