スーツを着た悪魔【完結】
もう、だめかもしれない……。
深青に不審がられるたび私は逃げてきた。
自分の過去から、傷跡から目を逸らしてきた。
けれどもう逃げられない。
朝倉さんが深青に話すのは時間の問題だし、深青自身が私を調べさせたら、すぐにわかってしまうだろう。
彼に自分の過去を知られることを考えれば胸が張り裂けそうになるが――
いや、あの深青なら、それでも「受け入れる」と言ってくれるかもしれない……と次の瞬間に考えてしまう。
甘い。甘すぎる。今までそうやって信じそうになって、どれだけ裏切られた?
恋は恐ろしい。
冷静な判断力を失ってしまう。
ただまゆが望んでいるのは『深青に自分の傷を見られたくない』その一点だった。
好きだから、知られたくない。
彼に軽蔑されるくらいなら死んだほうがマシだ。