スーツを着た悪魔【完結】

好かれなくても、嫌われるよりいい。

そう、このまま仕事を辞めてフェードアウトしてしまったほうがずっと、ずっといいに決まっている。


仕事を辞める。そうするのが正しいとわかってはいるが、なかなか踏ん切りがつかなかった。

成り行きで入社したとはいえ、Orlandoでの日々は穏やかで、出来ることならずっとここで働いていたかった。


もちろんいつ深青に頼景から話が伝わるのかと不安にも思っていたのだが、肝心の深青が、展覧会や海外での仕事が連続して入りOrlandoになかなか姿を見せず、それを確かめるすべはないまま日は過ぎた。



ある日の夕方。

仕事を終え、家に戻る途中。ちょうどOrlandoを出たことろで携帯がバッグの中で震えた。


もしかして未散さん?


ほんの少しワクワクしながらバッグ携帯を取り出して、着信を確認し、思わず固まる。


表示されているのは『澤田悠馬』の名前――



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