スーツを着た悪魔【完結】

悠ちゃんは学生時代から、こんな雰囲気だったっけ。


そしていつも私に本のお土産を買ってきてくれて……

不思議だな。

いつだって彼は優しかったはずなのに(今だって気にかけてくれていることは痛いほどわかる)

思い出すのは昔のことばかりだ。



「悠ちゃん」



まゆから、電話を受けた時の緊張は消えていた。

懐かしくなりながらも、文庫を閉じバッグに仕舞う。



「待たせたね。行こうか」



彼は座席につかないまま、腕時計に目を落とす。



「どこに?」

「レストランに予約を入れてるんだ、なかなか予約が取れないところなんだけど、友人のツテでね。特別だよ」

「わ、楽しみ」



表情を和らげるまゆを見て「よかった」と、悠馬も嬉しそうに微笑む。


そして二人はカフェを出てタクシーに乗り込んだ。



< 262 / 569 >

この作品をシェア

pagetop