スーツを着た悪魔【完結】
「――はぁ……」
化粧を直すも何もそれほど手をかけていないため、やることがないのだが――
落ちてしまったリップを時間をかけて丁寧に塗ったあとため息をつき、鏡の中の自分を見つめる。
少し、酔ったのかもしれない。
もちろん、悠ちゃんもだけど……。
腕時計に目を落とすと、すでに23時に近かった。
大変、終電がなくなっちゃう……!
悠ちゃんに断って早く帰らなきゃ。
まゆは足早に悠馬と座っていたカウンターへと戻ったのだが――
なぜか悠馬の姿は、そこになかった。
「悠ちゃん……?」
まさか先に帰ったとか?
いや、悠ちゃんはそんなことしないと思うけど……。
周囲をキョロキョロと見回すまゆ。