スーツを着た悪魔【完結】
ふと、背の丈ほどの観葉植物が並んだ通路の向こうに、悠馬らしい後頭部がちらりと視界に入る。
悠ちゃん……。
不思議に思いながらそのまま悠馬らしき人影に近づくまゆだったが――
「っ……!」
何も言えずに、立ち止まった。
喉がひゅうっと絞まり、どっと冷や汗が出る。
そこにいるのは確かに悠馬だったが、一人ではなかった。
オレンジ色の明かりの下、悠馬は華やかなタイプの女性に寄り掛かられているのだ。
年のころは、悠馬と同じくらいだろうか。センスのいいスーツを着ている。
隙のないクールな佇まいは、いかにも出来るキャリアウーマンと言った感じだ。
二人は明らかに初対面には見えない馴れ馴れしさだが、いったいどういうことだろうか。
「――今夜は、無理だな。連れがいる」
「あら、そうなの。でもこれ、渡しておくわね」