スーツを着た悪魔【完結】

そりゃひどいこともするし、口に出すけれど、深青という人は基本、優しい人なのだ。

今まで何度も感じていたことだけれど、改めてそのことを強く実感したまゆは、一層、深青を眩しく見上げた。


だから、こんな人に私はふさわしくないと、思い知らされてしまうんだ。




それから間もなくして、二人はまゆの住むアパートに着く。



「深青、ありがとう。あそこ……二階だから」

「ああ……」



深青がかすかに目を細めながら、まゆが短大時代から住む小さなアパートを見上げた。


マジで?

あれ、集合住宅だよな?


あれじゃまるで俺んちの――



「――私の部屋、深青の飼ってる犬の犬小屋より、狭いと思うよ」

「な、何だよ、見たことあんのかよ!?」



< 312 / 569 >

この作品をシェア

pagetop