スーツを着た悪魔【完結】

一瞬心を読まれたのかと慌てた深青だったが、

「前、テレビで見たことあるの。どこか、外国の貴族のおうちの犬小屋が、私の部屋より広かったのよ」

と、クスクス笑っているまゆを見ると、どうやら冗談らしい。
(実際のところ、愛犬家の深青の家では、常に犬が多頭飼いされていて、彼らはおそらくまゆの部屋より広い寝床を持っている)


ホッと胸をなでおろした深青だったが……。微妙な間が開いても、どうしてもまゆと別れがたく、なかなかコンビニ袋を彼女に渡せないままでいた。


そしてまゆもまた……このまま「さようなら」と言うべきだとわかっているのに言い出せなくて、深青の前に立っている。

手を伸ばせばすぐに側に大好きな人がいるのに、ほんの一歩踏み出せば抱き合えるのに、それが出来ない。


そんな中、口火を切ったのは深青だった。



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