スーツを着た悪魔【完結】
「あ――ちゃんと、メシ食ってるか?」
「食べてるよ。あのね、私、別におなか空かせてないからね」
「そう見えるんだ、不思議と。なんでだろうな。メシいっぱい食わせたくなる」
「なによ、それ。私、野良猫じゃないんだから」
苦笑するまゆの小さな顔におさまった、印象的な澄んだ二つの黒い瞳。
この目が好きだ。
ふと、深青は思う。
弱弱しそうに見えて、彼女の根っこは、彼女の本質はきっと強い。
けれど『何か』が、彼女のきらきらした美しいものを歪めている。
それをなんとかして取り除いてやりたいと思うけれども、深青には『正解』がわからない。
とりあえず、今自分に出来ることをなんとかしてやりたいと思うだけだ。
それはねこっ可愛がりしているのとは違う。
まゆはちゃんとした大人の女性だということは、深青がよくわかっている。