スーツを着た悪魔【完結】
けれど心配で仕方ない。
まゆがつらい目にあっているんじゃないかとか、おなかを空かせているんじゃないかとか、そんなことをつい考えてしまう。
「まゆ……」
もう一方の手で、まゆの頬に手を乗せる。
まゆは一瞬目を見開いたけれど、手を振り払うわけでもなく、おとなしくされるがままになっていた。
彼女は口では拒むようなことを言っても、深青がこうやってふれると、どこか気を許したように、ホッとした表情を浮かべる。
そんな様子から、深青はなんとなく感じていたことがある。
もしかしたらまゆは、人とかかわり合いになることを避けているけれど、同時に、こういったスキンシップに飢えているのではないかと……。
一瞬、頼景の顔がちらついたが、すぐに頭から追い出した。
俺が彼女の過去を知るとしたら、それはまゆ本人の口から聞く時だ。