スーツを着た悪魔【完結】

けれど心配で仕方ない。

まゆがつらい目にあっているんじゃないかとか、おなかを空かせているんじゃないかとか、そんなことをつい考えてしまう。



「まゆ……」



もう一方の手で、まゆの頬に手を乗せる。


まゆは一瞬目を見開いたけれど、手を振り払うわけでもなく、おとなしくされるがままになっていた。


彼女は口では拒むようなことを言っても、深青がこうやってふれると、どこか気を許したように、ホッとした表情を浮かべる。


そんな様子から、深青はなんとなく感じていたことがある。

もしかしたらまゆは、人とかかわり合いになることを避けているけれど、同時に、こういったスキンシップに飢えているのではないかと……。


一瞬、頼景の顔がちらついたが、すぐに頭から追い出した。

俺が彼女の過去を知るとしたら、それはまゆ本人の口から聞く時だ。



< 315 / 569 >

この作品をシェア

pagetop