スーツを着た悪魔【完結】
「秘書にしてはずいぶん楽しそうにしていたけれど」
「だからなんだって言うんです。実際、邪魔されるところまでは楽しかったですよ」
「深青さんっ!」
「そんなに怒ると体に障るのでは?」
「んまーっ!!!!!」
まゆはハラハラしながら、しれっとしている深青と、対照的にワナワナ震え、どんどん怒りのボルテージをあげている老女を見比べていた。
どう考えても、自分はこの場にいないほうがいい。
「深青……」
彼の名前を呼び、それから身を引きかけたのだが――
「いい。ここにいろ」
深青がまゆの手をつかみ、引き寄せた。
まゆを親族が集まるここに連れてきたのには、それなりに覚悟をしてからのこと。こういう形で露見することは想定していなかったのだが、彼には彼の意地があるのだ。