スーツを着た悪魔【完結】

「まゆ。この方が本家、豪徳寺家三十二代目の当主、豪徳寺結(ごうとくじゆい)様だ」



三十二代目……そして、深青の様付け……。
本当に雲の上の人なのかもしれない。イキガミ様的な、そう、そんな人。



「誰が結様だ。深青」



当主は穏やかに微笑み(その一瞬、背後に花が咲いたような気がした)

深青を優しく見つめる。



「深き青。美しく咲き、未だ散らず……。兄妹仲良く、健やかに過ごしているか?」



深き青。美しく咲き、未だ散らず。

まるで詩を読むように彼はささやいたが、どうやらそれは深青を筆頭とした兄妹たちのことらしい。



「はい。美咲も未散も、元気いっぱいです。当主に会いたがっていましたよ。絵ばかり描いて、なかなか出てこられないでしょう」

「いずれ招待を受けるよ」





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