スーツを着た悪魔【完結】

それからしばらくの間、深青はまゆと八百屋のやり取りを遠目に眺め、彼女がウキウキした様子で戻ってくるのを出迎えた。



「そんなにニコニコしてどうした?」

「おじさんがね、みょうが、おまけしてくれたの。おばさんには内緒だよって」



八百屋のおじさんのサービスに、まゆは恥ずかしくなって家を飛び出したことも忘れてしまったようだ。


機嫌よく買ってきた野菜を並べ、あそこの八百屋さんはいいお野菜を並べているのだと深青に説明を始める。



あーもう、可愛すぎるだろ……。



他愛もないことで嬉しそうにしているまゆを見ていると、深青はなんだか胸が切なく締めつけられて仕方ないのだが――

ここで抱きしめてしまえば何かタガが外れてしまいそうで、それは出来なかった。



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