スーツを着た悪魔【完結】
私は……?
背中に感じる広い胸。体の前で交差する彼の二の腕。首筋に感じる彼の吐息。
目を閉じるとすみれの匂いが満ちる。まるで夢のよう。気が遠くなりそうだった。
「深青、私ね……」
穏やかな気持ちのまま、まゆは口を開く。
「ん?」
「深青、私……。両親がいないの」
突然口をついて出た言葉に、まゆは自分でも驚きを禁じ得なかったが
「まゆ……」
深青もまた彼女以上に言葉を失っていた。
まゆは深青の腕にしがみつくように指に力を込める。
「だから、必要以上に過敏に反応して、それで……深青に嫉妬したこともあって……羨ましくて……ごめんなさい……」
「ごめんなんて……」