スーツを着た悪魔【完結】
深青は何をどう言っていいかわからず、腕の中のまゆを抱きしめることしか出来なかった。
「俺こそ……何にも考えてなくて……」
「違うの、いいの。深青があったかいお家で育ってきたのは事実で……だから、未散さんも、深青も、あったかいんだもの」
そして私は、二人のそういうところに救われてきたのだ。
まゆは、以前頼景とこの話になった時のことを思い出していた。
彼は自分の両親のことを調べて、どんな死に方をしたのか知っていたのに、それでも口に出されるのが怖かった。自分の耳で聞きたくなかった。
けれど今私は、自分の口で、それを話そうとしている。
怖くないわけがない。けれど言って楽になりたいわけじゃない。
両親がいないことは、事実なのだ。ただ、そのことを深青に知ってもらいたかった。
「なぁ、まゆ。一つ、聞いていいか?」