スーツを着た悪魔【完結】
「謝るなよ、もう……」
深青はまゆの後頭部に手のひらをまわし、よしよしと撫でる。
指先にからませたまゆの髪は、さらりとこぼれて、またまゆの肩に落ちる。
「まゆは何にも悪くねえだろ」
「――そう、かな……」
まゆは泣き疲れた、かすれた声でささやいた。
深青が謝るなと怒る意味がよくわからない。
自分がわかるのは深青が特別優しい男だということだけだ。
私みたいな面倒な女を好きだと言ってくれて……
そして、こんな私でいいと言ってくれる。
こんな人がいるんだろうか。
身内にすら認められた覚えがないまゆは、不思議で仕方なかった。
「なぁ」
「ん?」
「その……悠ちゃんだけど……独身?」