スーツを着た悪魔【完結】

深青は今まで何度も、好きと言ってくれた。だけど今、今日ほど、心を揺さぶられたのは初めてだ。

こんな自分でも生きていていいのだと、じんわりと涙が浮かぶ。


あまりにも嬉しくて、まゆは発作的に、深青の首の後ろに腕をまわし、しがみつくように抱きついていた。



「嬉しい……ありがとう」

「まゆ……」



大好き、お前が一番だよ、なんて。子供の頃は両親にいつも言われていた。

そして、そうやってたくさんの言葉を貰い、抱きしめられて育った自分は、幼いころ、もしかしたらとても大事で特別な子供なのかもしれないと思ったものだ。


けれど……。


深青は腕の中のまゆを見下ろす。


今まで何度も好きだと言った。可愛いと思えば好きだと言ったし、キスをするように「好き」だとささやいた。

けれど彼女は、自分が思う以上にそういったわかりやすい愛情に飢えていたのかもしれない。



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