スーツを着た悪魔【完結】
それから一時間もしないうちに、まゆは約束のカフェへと到着した。
はぁはぁと乱れる息を整えながら、目を凝らす。
待ち合わせ場所に来たはいいけれど、携帯の番号もわからないし、具体的に待ち合わせしたわけでもない。
豪徳寺深青がいるかどうかわかるだろうか……。
というまゆの不安は杞憂に終わった。
探すまでもない、深青はカフェのオープンテラス席で死ぬほど目立っていた。
カフェはアジアン風で、木の枠でできた椅子に大きなクッションを置いているのだけれど、なぜか一人のくせして、L字型の大きなソファーを陣取り、王侯貴族のように座っている彼。
本人も特に気にした様子はない。
偉そう……なんて偉そうなの。そして違和感のなさが怖い……。
まゆはすぐに近づく気になれず、遠くから深青を見守っていた。