スーツを着た悪魔【完結】
昨日見たスーツ姿ではなく、ラフでカジュアルな私服姿の深青。
Vネックのカットソーの上に薄紫色のゆったりしたカーディガンを羽織り、足元はコンビカラーのレザースニーカー。そしてデニムという格好。
外国人モデル並みの、抜群のスタイルがそう見せるのだろう。なんてことのないラフなスタイルでも、まるで雑誌から抜けてきたようにきまっている。
中身が「あれ」だってわかっていても、素敵だと思ってしまう……。
外にいるときの深青は、まゆが昔から知っている深青で、要するに恐ろしく外面がいい。
優雅に足を組んだ彼は、お茶を飲み、お昼らしいサンドイッチをつまんでいる。
入れ替わり立ち代わり来る店員は、そんな深青の顔を見に来ているとしか思えない。やたらお茶のお代わりのサービスを受けているのがなんだかおかしかった。
そうやって、少し離れたところに立ち尽くしているまゆに気付いた深青は、一瞬目を丸くしたけれど、すぐにニッコリと微笑み片手を上げる。
「ここですよ」
すると面白いようにまゆに周囲の視線が集まる。
その瞬間、彼が待ち合わせていた女が自分だと言うことを思い出していた。