スーツを着た悪魔【完結】
幼いころ凍り付いた心に、ジワジワと染み入るように勇気が湧いてくる。
まゆはやんわりと微笑み、それまで背中を向けていた体を深青の方向へずらし、目を閉じる。
これでやっと、ゆっくり眠れるような気がした。
「ありがとう、深青……私、あとは自分で続きを読んでみるね」
「ああ」
深青はうなずき、手元を照らしていたライトに手を伸ばし、それを極限まで絞る。
「おやすみ、まゆ」
「おやすみなさい……」
――――……
翌朝、目を覚ますと自分をジッと見つめている深青と目があった。
「……深青?」
「おはよう」
彼は片ひじをクッションにつき、じっとまゆを見つめていたようだ。