スーツを着た悪魔【完結】
慌ててベッドから起き上がろうとすると
「いや……まゆはここでゆっくりしてればいい」
深青はベッドから抜け出し、まゆの額にキスを落とす。
「素直に可愛がられてろ」
「もうっ……」
まゆの頬が赤くなる。
楽しげに部屋を出て行く深青の背中を見つめて、まゆはゆっくりと部屋の中を見回した。
天蓋つきのベッドは、まるでお姫様のようだったし、壁紙は薄緑で、ピンクの小花が散っている。部屋に置かれている調度品は、どれも古そうで、品があった。
シックだけれど、とても可愛らしい部屋だった。
それから間もなくして、深青が銀色のトレイを持って戻ってくる。
フレンチトーストと、ミルクティ。
それに新鮮なフルーツの盛り合わせまである。
深青はそれらの食料を、朝早く、まゆが目覚める前に運んでくるよう頼んでいたのだ。