スーツを着た悪魔【完結】
深青はトレイを脇の丸い小さな木のテーブルの上に置いてから、起き上がったまゆとベッド際に並んで腰を下ろし、トレイを膝に乗せ、苺をつまんで口元へと運ぶ。
「あーん」
「あ……?」
「口開けろって。食べさせてやるから」
「い、いいよ、自分で食べられるよ……!」
さすがに苺をあーんして食べさせてもらうのは恥ずかしい。
慌てて苺を一つつまみ、自分の口の中に放り込む。すぐに甘酸っぱい苺の味が口いっぱいに広がった。
「美味しい……」
「もっと食え」
「う、うん」
思わず笑顔になるまゆを見て、深青は苦笑しながら、持っていた苺を自分の口に運び、優雅な手つきでフレンチトーストを切り分け、まゆの口元に運ぶ。
「ナイフとフォーク一揃いしか持ってきてないんだからな。ほら」
「そ、そう……?」
自分で食べたいけど、一揃いしかないのなら仕方ないと、自分に言い聞かせ、口を開ける。