スーツを着た悪魔【完結】
恥ずかしくてあまり大きな口も開けられない。ほんの少し、フレンチトーストをかじった。
それはかなり甘めに作ってあって、まゆ好みの味付けだった。
やっぱり深青って何したってセンスがいいんだ……。
かみしめるように、一口ずつ、ゆっくり、ゆっくりと朝食を食べる。
約三分の一を平らげたところで、まゆは首を振った。
「ごちそうさまでした」
「もう?」
「おなかいっぱい。あとは深青が食べて。私はもう十分だから」
そしてミルクティを飲み「とてもおいしかったです」と頭を下げた。
「どういたしまして」
深青はにやりと笑いながらうなずき、残りをパパッと食べてしまうと、またトレイをテーブルの上に置き、まゆを抱き寄せる。
「わっ……!」
そのまま二人はもつれるようにベッドの上に横たわった。
ちょうど、まゆを後ろから抱いて、ひらがなの「く」の字が重なるような雰囲気だ。