スーツを着た悪魔【完結】
食べたばかりだから、重ねられたスプーンのようにはくっついてはいないけれど、深青の腕は、どこにどう手をおけば一番しっくりくるかわかっているかのように、まゆを抱きしめる。
深青はいつだってあたたかい。
男の人らしく、ぼうぼうと燃えているように熱い。
深青の手がパジャマ越しにまゆのおなかのあたりに置かれていると、なんだか落ち着く気がする。
彼から薫るすみれの匂いのせいもあるのだろうか。
以前よりもずっとかぐわしい香りになっているような気がした。
「深青、でも、すぐに寝ると牛になっちゃうよ?」
「あー、それもいいな。二人で牛になろう」
深青はそうささやいて、まゆの首筋に音を立ててキスをした。
どうやら本気でゆっくりした時間を過ごすつもりらしい。
「でも、仕事、は?」
「牛だからこれが仕事ってことで」
「もうっ……」