スーツを着た悪魔【完結】

苦笑するまゆが振り返ると、

「まゆ」

どこか真剣な表情で、自分を見つめる深青と目があった。


そのあまりにも真摯な瞳に、まゆは魅入られるように黙り込む。

すると彼は、まゆの頬にかかる髪をかきわけながら、ゆっくりと口を開く。



「少し、休もう。大したことはできないかもしれないけど、俺からのプレゼントだ」

「――ありがとう」



気を緩めたらまた泣いてしまいそうで、うつむいたまゆは甘えるように深青の胸に頬を押し付けた。


たいしたことはできないなんて、そんなはずはない。


深青が側にいてくれること。

まゆには十分すぎる贈り物だった。




< 519 / 569 >

この作品をシェア

pagetop