スーツを着た悪魔【完結】

――――……



わざと朝寝坊をして、洗濯。広い庭にシーツを干し、カウチに横たわって本を読む。

緑が青々と茂っているので、樹の下にいればとても快適に過ごせた。


お腹が空けば二人で肩を寄せ合いキッチンで食事を作り、思いつきでシュークリームを焼いて、その微妙な仕上がりに笑いあった。


夜は大きなベッドで、子猫のきょうだいのように身を寄せあって眠る。


そうやって、十日ほど、まゆと深青は穏やかな休日を過ごしてはいたが――

ある朝、まゆはテーブルの向こうで朝食のサンドイッチを頬張る深青に、意を決して問いかけた。



「深青……」

「ん?」

「あの……」



彼は私が何を言いたいかわかっている。


まゆはサラダを食べていたフォークをテーブルの上に置き、深青の顔を見つめる。



「もう、私大丈夫だから」

「――」

「だから教えて。悠ちゃんのこと」



< 525 / 569 >

この作品をシェア

pagetop