スーツを着た悪魔【完結】

こういう健全な女と昼間二人っきりで会うのって、それこそハイスクール時代でもなかったかもしれないな。

と言っても、まったく俺のタイプじゃないけど……。

俺はゴージャスな女が好きだし。


そんなことを思いながら、まゆが落としていった小さな箱をテーブルの上に乗せる。



「これ。渡しておきますね」

「あっ、ありがとうございますっ……」



まゆはホッとしたようにそれを両手にとり、深青に頭を下げる。



「ちなみに何買ったの?」

「ピアスです。星のかたちをした、可愛いピアスで――」



彼女が真面目な表情で答える。

その、さらりと黒髪がゆれた隙に、咄嗟に深青は手を伸ばし、彼女の頬にかかる髪を指先で持ち上げていた。



「っ……!」



驚いてビクッと体をすくめるまゆ。



< 55 / 569 >

この作品をシェア

pagetop