スーツを着た悪魔【完結】
「――ピアス、あいてないみたいだけど」
「え、あっ……はい。これは、私のじゃなくて……頼まれて……」
「頼まれた?」
「買っておいてって……イトコに……」
声がかすれた。
おそるおそる深青を見つめると、彼はかすかに目を細め、まゆの耳元を眺めている。
やがてその指は、髪をかきわけて耳たぶを見つめるだけでは飽きたらず、そっと耳のかたちを確かめるように優しく触れ、なぞり始めた。
えっ、あ……やだ。なに!?
心臓がバクバクと鼓動を強める。
「耳、小せえ……」
誰に聞かせるわけでもない、素の声で、深青はまゆの耳の感想を述べる。
いったい何を考えているんだろうか?
くらくらしながら深青を見つめ返すまゆ。
けれど彼の表情はいたって普通だ。
困るまゆを見て面白がっているとか、そういう雰囲気ではない。