スーツを着た悪魔【完結】
「おい」
「はっ、はい!?」
ある日の午後。
昼休み、深青とまゆ以外人がいなくなったほんの一瞬のすきをついて、深青がまゆを呼び寄せる。
「なんでしょうか」
深青の前に立つまゆは、やっぱりどこかビクビクオドオドしている。
以前堂々と、深青に向かって「ちゃんと働かせてくれ」と言った彼女と同一人物とは思えない。
あの一瞬「いい女」だなと思ったのは、どうやら勘違いだったらしい。
あれだな。こいつがモテているように見えるのは、きっと「子ウサギ」だからだ。小さいものが可愛い、みたいな。そういうことだ。
深青はそんなふうに自分を納得させながら、メイドに命令するように口を開く。
「――コーヒー。ブラックで」
「はい、わかりました」
こっくりとうなずいた彼女は、すぐにコーヒーを淹れて戻ってきた。
「どうぞ」
「ちょっと待て」