スーツを着た悪魔【完結】
そしてホテルのロビーで待つ深青もまた一人、モヤモヤしていた。
まゆを侮蔑するつもりはなかった。が、結果的にそうなった。
よく家族から指摘を受けるのだが、どうも自分は人よりほんの少し――
ほんの少しだが、時折、傲慢になることがある。
昔から、たとえそのつもりはなくとも、全てを手にしていると思われがちな深青の発言が、持たざる者に対して嫌味と取られることは多々あった。
だから自分は、帰国してからは極力周囲に波風を立てないよう「絵に描いたような優等生」を演じてきて――
その一方、時折そんな自分に疲れて、何もかも壊れてしまえばいいとめんどくさくなってヤケを起こしてしまう。
そうだ。こういうことになったきっかけの電話をまゆに見られたのも、たまたまの偶然が重なった結果。
もしかしてあいつ、いつも俺があんな男だって思ってないだろうな……。
確かに品行方正なタイプでもないが、いつもああやって女を泣かせている男だと思われるのもしゃくだった。