スーツを着た悪魔【完結】
女は可愛がるものだ。
たとえその場限りのゲームでも……。
「お兄ちゃーん!」
はっと顔をあげると、向こうからミニのワンピース姿の未散が、手を振って走ってくるのが見えた。
母親譲りの美しい巻き髪がふわふわと揺れる。
光沢のあるアイスブルーのワンピースは未散によく似合っていた。
「未散」
ソファーから立ち上がって、いつものように軽くハグをする二人。
「あれ、まゆさんは?」
てっきり一緒にいると思っていたのに、まさか兄一人だとは思わなかった。
未散は周囲をキョロキョロと見回す。
「もしかして早々にフラれたの?」
妹の鋭い指摘にギクッとした。が、何事もなかったかのように微笑んだ。
「フラれる? 冗談言うなよ。あいつ――まゆはもう来る」
たぶん、と心の中で付け足す深青。
「一緒じゃないの? 迎えに行ってあげればいいのに」