モカブラウンの鍵【完結】
「戻りました」


部屋に入り、小さめの丸テーブルにレジ袋を置く。

佐伯さんはベッドに腰掛け、こっちを見ている。

シャワーを浴びてすっきりしたみたいで、寝起きより血色がよくなっていた。


「佐伯さん、サンドイッチとおにぎり、どっちがいいですか?」

袋から中身を出し、最後にコーヒー牛乳を取り出した。


「あっ!コーヒー牛乳!」


俺が部屋に入ってから、ずっと無言だった佐伯さんが嬉しそうな声を上げた。


「コーヒー牛乳好きなんですか?」

面食らった俺が聞くと、少し照れた感じで「うん」と言った。


「じゃあ、これは佐伯さんの」

コーヒー牛乳を手渡す。



「もしかして自分用で買った?」

「まあ、コーヒーが飲みたくて。

俺はブラックが飲みたかったんですけど、それしか売ってなくて。

ちょっと甘いな、と思ってたんで。佐伯さんが飲んでいいですよ」



「ありがとう……」

佐伯さんはコーヒー牛乳に向かって言った。

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