モカブラウンの鍵【完結】
「コーヒー牛乳ならサンドイッチの方がいいですよね?」

「うん」

「どうぞ」

サンドイッチをスツールに座った佐伯さんの前に置く。

俺はおにぎりのラッピングを破き、頬張った。


コーヒー牛乳を美味しそうに飲む佐伯さんを横目でチラ見する。

「これから買い出しする時は、佐伯さん用にコーヒー牛乳買いますね」

「そっ、そんなこと、いいわよ……」


その反応に調子が狂う。

いつもは言いたいことをバンバン言ってるイメージだった。


それがなんて言うか、目の前にいるのは『乙女』な感じ。


言い方もそうだけど、スッピン――いや、軽く化粧してるか――を初めて見たのも、調子が狂う原因かもしれない。


職場にいる時は大人の女性。


今は幼い顔になっていた。

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