モカブラウンの鍵【完結】
「だからって、なんでそんなこと聞くんだよ」

「いいから、いいから。どれ? 紐? 総レース? あ、ベビードール?」

「いい加減にしろよ。別に俺と佐伯さんは付き合ってないし」


少しでも姉ちゃんのことを心配した俺がバカだった。

こんなことを弟に聞いてくる姉がどこにいる。


「だから頑張りなさいよ。そしたら、自分の好みの下着を着てもらえるじゃない。それに、自分が選んだら下着をナオちゃんが買ったら、俄然やる気が出るでしょ。他の男に見せたくないと思って」


佐伯さんは俺が告白したことを、姉ちゃんに言ってないんだ。

当たり前か。

それに佐伯さんはそういうことを言うタイプじゃないし。


くだらないことばかりを言う姉を残して、自分の部屋に行った。

ベッドに潜り込み、目をつぶる。

この数時間で精神的に疲れたのか、1週間の疲労か、すぐに意識が遠ざかった。

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