モカブラウンの鍵【完結】
地上波でやっていた映画がエンドロールに差し掛かった頃、姉ちゃんがほろ酔いで帰ってきた。


「ただいまー!」

「お帰り」

「涼太、何でメール返してくれないのよ。フフフフ、興奮してそれどこじゃなかった?」

「メールなんて見てないよ。風呂入ってくれば。酒、入ってるんだから長湯するなよ」

「はーい」


あんなメールに返信を律儀にする弟がどこにいるんだよ。

はあ、明日は姉ちゃんの主婦修行か。

手がかかる姉だ。


テレビを消すと、風呂場から音程の外れた謎めいた歌を歌っていた。

『近所迷惑になりませんように』と思いながら、缶ビールを飲み干した。

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