魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
航海は順調に進み、明らかに気候も暑くなり、甲板ではいはいをしているルゥに日焼け止めのクリームを塗ってやっているラスをデッキチェアーに座ってでれでれしながら見ていたコハクは、地平線から顔を見せたものを発見してラスに声をかけた。


「チビー、島が見えたぞー」


「えっ!?わあ、本当だっ、ルゥちゃん、島だよ、南の島!わあ、沢山あるね!きゃーっ、海の色が綺麗!コー、これどういうことなのっ?」


手すりから身を乗り出して海の底を覗き込んでいるラスが見たものは、珊瑚礁の群生だ。

エメラルド色に輝く珊瑚は太陽の光を受けて反射し、ラスの顔を白く照らしていた。

コハクはラスの隣に立って後ろ抱っこするようにして腰を支えてやると、心地よい潮風に黒髪をなびかせながら、ラスのうなじにちゅっとキスをした。


「これは珊瑚礁っていって、綺麗な海にしか生えないんだ。見ろよチビ、魚の色もカラフルだろ?これも南の島特有のものなんだぜ」


「わあーっ、すごく綺麗!コー、早く泳ぎたいね!ルゥちゃんも溺れないように気を付けるから一緒に海に入ってもいい?」


「ん、俺も気を付けるからいいぜ。あー楽しみ!何が楽しみってチビの水着姿が楽しみ!」


コハクが水着姿を楽しみにしていることを知っているラスは、グリーンリバーではじめての買い物をした時に何着か購入している。

店で試着していた時にコハクがものすごく喜んでいたので、コハクが出かけている間に城でひっそり水着を着てどこもおかしくないか確認していたりしていたラスもまた、コハクにぞっこんだ。


「コーの水着も買ったけどルゥちゃんのはないから裸でいいかなあ。男の子だけど裸見られたら恥ずかしいもんね」


「きゃぅっ」


「貸し切りにすっから誰も見ねえって。俺たちが行く島は時々観光客を受け入れてるんだけど、今は誰も滞在してねえって話だし、俺とチビとルゥの3人っきり!…チビ?」


言葉もなく海に見入っているラスの瞳の色もまたエメラルド色に輝き、錨を下ろす準備を始めた改造済みの魔物たちの邪魔にならないようにラスをルゥをそれぞれ片手に抱っこしたコハクは、階下に降りて珊瑚礁の中を進む船の光景をラスに見せた。


「すっごく綺麗…!お魚の色もオレンジとかグリーンとか…すごい!」


「あんまり美味くねえんだけど見る分には楽しいよな。チビが喜んでくれて良かった」


「コー…ありがとう!すごく嬉しい!すごく幸せ!」


頬にちゅっちゅとキスをしてきたラスを抱きしめながら鼻の下が伸び切った色ぼけ魔王は、はいはいしてガラスをぺちぺち叩いて喜んでいるルゥも抱き寄せて3人きりの新婚旅行を目一杯楽しんで、ハネムーンベイビーを作ることに俄然張り切っていた。
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