魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
だがしかし…

エンジェルはラスの遺伝子をしっかり受け継いでいるらしく、採ってきて自慢げに見せてくるキノコは全てカラフルなものばかり。


一応魔法で無毒化することができるが、ここで間違えた知識を与えてはいけないと父親らしい観念の芽生えたコハクは、首を振って地味な色のキノコを見せた。


「色の綺麗なものは食えないから、こういった地味ーなキノコを探してくるんだ。それ食わせたらママやお兄ちゃんたちが死んじゃうかもしんねえぞ?」


「え、やーだ!パーパ、こうゆうの?」


「そうそう、そうゆうの」


急いで茶色の地味なキノコを採ってきたエンジェルは、コハクに誉められて自慢げに胸を反らすと、ぽつりとデスの話題を口にした。


「ねえパーパ、黒いののは神様なんだよねえ?」


「んー、神様っていうか…まあ同じ類だけど。ああ見えて俺よりずっと年上だし強いんだぜ」


「うんー強いのは知ってるー。パーパ…黒いののは好きな人居ないのかなあ」


「は…はあ!?え、エンジェル!なんでそんなこと気にして…」


地味なキノコに集中しているエンジェルの気を引くために抱っこして問い詰めたコハクの端正な美貌は必死そのもの。

だがエンジェルはきょとんとしていて、単純に疑問に思ったことを口にしただけなのだとわかってほっとしたコハクは、エンジェルの頬にキスをしてキノコがどっさり入った籠をエンジェルに持たせた。


「あいつはまだ心が子供だから、これからゆっくりゆっくり大人になってくんだ。だからエンジェル、お前がお姉ちゃんになってデスと一緒に大人になってけばいい。色々なものを見せて“好き”っていう気持ちを沢山覚えさせてやるんだぞ」


「うん、わかった!」


ラスと同じ返事でにこっと笑ったエンジェルと一緒にテントを張った場所まで戻ると、ラスが不器用なりにナイフで山菜を刻んでいたところだった。


「あ、コー。遅いから山菜切って…」


「あーーーっ!チビっ、勝手にナイフとか持つな!指切ったらどうすんだ!あ、でも俺がぺろぺろして治して…」


「黒いのー」


ラスを叱っている間にエンジェルがデスに駆け寄ってしまい、むっとしつつもまだまだ幼いエンジェルにほっとした子煩悩魔王は今後もデスに釘を刺し捲る気満々だった。
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