さよならの見つけ方 第1章
聖歌隊でアルトのソロを歌うチャド、



あの小さな約束を、忘れていない私。












どうして、気付いてあげられなかったんだろう。



最後に会ったのは、いつだっけ?










急いで教会を飛び出して家に帰ると、チャドから届いた手紙の束の封を切る。










先週も先々週も、つい一昨日も、チャドは手紙をくれていた。




いつもと何も変わらない、流れるような綺麗な文字で。










声変わりしたよ、とは書かれていない。






そのことにはチャドは、一言も触れていない。










そう言えば先月、チャドから電話だとロバートに呼ばれたことがあったっけ。






あの日珍しく夜遅い時間にかかってきた電話に、チャドらしくないなと少しだけ思ったことを覚えている。









話したくないと頑なに電話に出なかった私に、ロバートは小さくため息をついたっけ。














きっと、あの時だったんだ。






チャドはあの時交わした約束を、きちんと覚えていてくれたのに…




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