ビー玉
それからしばらくたった、ある晴れた日のことだった。






けんちゃんの学校が終わるまで、あたしは祖母の家で一人で時間をつぶしていた。










縁側に腰を下ろしてぶらぶらと両足を揺らしていたあたしは、


ふと、あのビー玉が見たくなって、かんからの中をじゃらじゃらと探った。













ころん、と手の平の上に転がしてから青い空にかざすと、




金魚は、今度は青い海の中に透けた。




















あたしはそれを見て、とても不安な気持ちになる。















――――あたしもいつかは、小さなビー玉の世界から抜け出して





夕空の中でも、青空の中ででも、






ちゃんと一人で泳げるようにならないと。








逃げずにちゃんと学校に行って、




友達をいっぱい作って、




同じ年代のみんなが一人一人きちんと自分の居場所を見つけていくように、



あたしも探さないと。




自分の居場所を。





広い世界の中を、泳げるようにならないと。





居心地のいい、祖母のこの家から抜け出さないと…












だけどまだ、



もう少しだけ、




このままがいい…。











< 15 / 69 >

この作品をシェア

pagetop