TABOO 短編集
公園のランニングコースは1周5kmで目標は2周だ。
快調に走ればだいたい7km地点でそれは訪れる。
すべての苦痛を忘れ去る真っ白な瞬間。
けれど長くは続かない。
ゴールする頃には反動で身体が鉛のようだった。
クールダウンを終えて柔軟をし、スタート地点の芝生に座り込む。
視界の隅に、走る前と変わらない光景が見えた。
仲睦まじく話す姿はまるで恋人同士だ。
「走れよ……ばか」
毒づいて、仰向けに寝転んだ。
コウキの女癖の悪さは折り紙付きだ。いちいち傷ついていたら身がもたない。
「分泌中?」
しばらくして落ちてきた声に目を開けると、額に汗を滲ませた翔が私を覗き込んでいた。
声を出す間もなく、隣に倒れこんでくる。