アウトサイダー
「紗知……」
やがて、長い足で私のところまでたどり着いた彼は、小さな声で私の名を呼んだあと、まるでそれが当然だというかのように私の手首をつかんで、元来た場所へと連れ戻す。
そして、そのままデパートの隙間の人気のない場所に私を連れていくと、私の顔を覗き込んで言った。
「紗知」
確かに彼はそう言った。
あの頃と変わらぬ声で。
「元気、なんだな……」
その言葉に涙が溢れた。
止めることなんてできやしない。
あんなに求めた彼が、こうして私を覚えていてくれて――。
「ほら」
ポケットから取り出した少ししわの寄ったハンカチを私に手渡した彼は、少し困った顔をした。