アウトサイダー

私の疑問を解くように、彼は内ポケットから名刺を取り出した。


2級建築士 篠川太陽


「太陽……それじゃ……」


「あぁ、今は見習いのような立場で働いている。
今年1級の試験を受けるつもりだ。難関だけどな。

今日は、クライアントとの打ち合わせの帰り」


膝の上の手を握り締める。


彼は、約束を果たしたんだ。
私との、約束を――。

あの夢に向かって、確実に歩いているんだ。


「紗知はどうしてる?」


私たちの会話がぎこちなかったのは、きっと核心に触れることができないからだ。


< 169 / 576 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop