アウトサイダー

1時間ほどの打ち合わせの後、斉藤さんの提案で近くのカフェでランチをすることになった。

さっきよりずっと近づいた彼に、ますます緊張が高まる。


「それにしても、永沢。いつの間にこんなかわいい子採用したんだ」

「だから、セクハラだって」

「ホントだ」


そう笑いあうふたりは、終始笑顔だ。


「なんだ、篠川。静かだな」

「いえ、そんなことありません」

「お前、さては池森さんに一目惚れとかじゃないだろうな」


斉藤さんのその冗談に、私も太陽も笑う事すらできなくて。


「ダメだよ。紗知には恋人がいるんだから」

「そうなのか。残念だな。でも、略奪っていう手もあるぜ?」

「また、余計なことを」



紗知には恋人が……。

永沢さんがそう言ったとき、コーヒーを口にしていた太陽の手が、一瞬止まった気がした。


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