アウトサイダー
「お前だけじゃない、婚約者も幸せじゃない。
俺の妻は……ずっと好きな奴がいて、でも結ばれなくて……そいつを忘れるために俺と一緒になった。
だけど、どうしても忘れられなくて、結局駆け落ちした」
「えっ?」
「ダブル不倫ってやつだ。
ふたりとも思いあっていたのに、口にしなかったからすれ違った」
彼の言葉に目を見開く。
まさか永沢さんに、そんな悲しい過去があるなんて。
それでも永沢さんは、悲しそうに笑ってみせた。
「俺は、ちっとも幸せじゃなかったぞ?
抱いている女が、他の男の事を考えているなんてな」
彼はそう言うとカップを持ってキッチンに行き、新しい紅茶を淹れ始めた。