アウトサイダー

「このティーカップ、彼女のお気に入りだったんだ。
そんなものが増えるだけでうれしかった時期もあった。
だけど、どこかで気がついていた。彼女が俺を見ていないこと」


「永沢さん……」


「もう一杯飲んだら、このカップは捨てるよ。
俺も過去にしがみ付いていたら、いい男が台無しだろ?」


フッと笑った彼は、もう一度テーブルまで来て湯気の立った紅茶を私に差し出すと、自分も紅茶を飲み始めた。


「紗知、お前が婚約者の元を離れられないのは、なんとなくわかる。
お父さんとお母さんのことだって、やっぱりあるんだろ?」


永沢さんの言葉になにも返せない。


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