アウトサイダー
永沢さんが部屋から出てきたのは、もう10時を過ぎていた。
他の人たちはもうすでに帰宅していて、永沢さんと付き合っていることになっている私が彼を待つのは、不自然ではなかった。
黙々と仕事をしているつもりだったのに、気が付くと少しも進んでいない。
ただ、永沢さんのことが気になって。
「紗知?」
「お疲れ様です」
「すまない。先に帰ればよかったのに」
「いえ。図面、どうですか?」
「あぁ」
珍しくはぎれの悪い彼に思わず俯く。
「待っていてくれたのにすまない。少しもできなかった」
「えっ……」
部屋にひとりになってからかれこれ6時間近い。