アウトサイダー

彼がいなくなった事務所は、途端に活気がなくなる。
持ち主のいなくなった彼のデスクを見つめてしまう。


永沢さんが作り出す建築物は、本当にうっとりするほど素敵だ。
そして、ストイックに仕事をする姿も、私のような下っ端ですらきちんと評価してくれる姿勢も、ずっとずっと尊敬してきた。

でも……。


「紗知、悪いけど、これいい?」

「あっ、はい」


もうひとりの建築士から、クライアントへの連絡を頼まれる。

ぼやぼやしている暇などない。
まだまともな仕事ができない私は、溢れるような量の雑用だってあるのだから。



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