アウトサイダー

「それと、これ」


彼が私に差し出したのは、綺麗にラッピングされたキーホルダーだった。

とてもシンプルなキーホルダーは、とあるブランド物に似ているけれど、もちろん違う。

だけど、そんなこと関係ない。
どんなブランドのものより、価値があるように思えるから。


太陽は、高校生だと偽って時々バイトをしていた。
だけど、秘密にしなければならなかったから、大した仕事にありつけたわけじゃない。
きっと、お給料だって……。

そんな彼が、ここまでしてくれて――。


「これ、俺とおそろいなんだ」


そう言いながら、ポケットからもう鍵のついているキーホルダーを差し出した。


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